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芥川を読もう!第1回
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はじめに・・・・

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【歯車】第一話 「一、レインコート」
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僕は知り合いの結婚披露宴に行くために、鞄を一つ下げたまま、
東海道のある停車場へその奥の避暑地から車を飛ばした。
自動車の走る道の両側は、大抵松ばかりが茂っていた。
上り列車に間に合うかどうかはかなり怪しいのに違いなかった。
自動車にはちょうど、僕の他にある理髪店の主人も乗り合わせていた。
彼は棗(なつめ)のようにまるまると肥った(ふとった)、
短い顎鬚(あごひげ)の持ち主だった。
僕は時間を気にしながら、時々彼と話をした。

「妙なこともありますね。××さんの屋敷には昼間でも
 幽霊が出るって云うんですが」
「昼間でもね」
僕は冬の西日の当たった向こうの松山を眺めながら、
善い加減に調子を合わせていた。

「もっとも天気の悪い日には出ないそうです。一番多いのは
 雨の降る日だって云うんですが」
「雨の降る日に濡れに来るんじゃないか?」
「ご冗談で。・・・しかしレインコートを着た幽霊だって言うんです」

自動車はラッパを鳴らしながら、ある停車場に横着けになった。
僕はある理髪店の主人と別れ、停車場の中へ入っていった。
すると果たして上り列車は2〜3分前に出たばかりだった。

待合室のベンチにはレインコートを着た男が
1人ぼんやりと外を眺めていた。
僕は今聞いたばかりの幽霊の話を思い出した。
が、ちょっと苦笑し、とにかく次の列車を待つ為に
停車場のカフェへ入ることにした。

<つづく>
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今日はここまで!
このあともおそらくこんな感じの文面になると思いますが、
「読みにくい」「こうして欲しい」などの
ご意見、ご要望がありましたら、遠慮なく下記のアドレスに
送信ください。善処させて頂きます。

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発行者 みつめ
mitsume@yan.ne.jp
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参考図書
株式会社新潮社発行 新潮社文庫 「河童・或阿呆の一生」
著者 芥川龍之介
(なお芥川龍之介の著作権は消滅しております)
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